タイは、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開催された、第五十九回国連人権理事会において、並行イベント「紛争における健康権の保障」を通じて、紛争下における医療へのアクセスや健康権の確保に対する支援を表明しました。このイベントには、各国代表や国際機関、エヌジーオーなどの関係者が参加し、紛争地域における医療の現状や課題について議論と意見交換が行われました。タイは発言の中で、紛争が人々の健康に与える影響の深刻さを強調しました。負傷や人命の損失、平均寿命の低下、妊産婦の死亡率増加、子どもの栄養不良など、長期的かつ多面的な影響があると指摘しました。また、タイはすべての関係当事者に対し、国際人道法と人権の原則を遵守し、危機の中でも脆弱な人々が継続的に医療を受けられるよう確保することを呼びかけました。さらに、タイはタイ・ミャンマー国境をはじめとする不安定な地域において、人道支援や医療物資の提供、医療従事者の育成などを通じ、国際的な協力に積極的に取り組んでいることを強調しました。このイベントは、タイをはじめ、ブラジル、日本、ノルウェー、スペインの共催のもと、国境なき医師団やセーブ・ザ・チルドレンなどの協力を得て実施され、国際保健機関や人道支援団体、各国の常駐代表が幅広く参加しました。パネリストからは、現在、世界の人口のおよそ四分の一が紛争の影響下に暮らしているという衝撃的な統計も紹介されました。医療従事者への攻撃や、公衆衛生インフラの破壊、医療サービスへのアクセス不足といった深刻な問題が指摘され、国際法と人道原則の尊重、そして責任ある対応の必要性が強く訴えられました。タイは今回の発言を通じ、国際社会における健康権の推進に向けたパートナーシップの意思を表明し、より人道的かつ効果的なアプローチが求められる今、グローバルな協力に積極的に関わる姿勢を示しました。