CEAが打ち出した新たな取り組みは、タイ国内9県におけるクリエイティブ・シティ・ブランドの構築を通じて、経済成長や観光振興、そして地域の誇りの向上を目指すものです。各都市が持つ固有のアイデンティティや文化的資産に焦点を当てることで、地域の魅力を国内外に発信します。
創造経済振興機関(CEA)は、「CEA Creative City & Place Branding」と名付けた本プロジェクトを立ち上げ、地域都市の潜在力を引き出すとともに、独自の都市像の確立や分野横断的な連携体制の構築を進めています。単なる広報やイメージ戦略にとどまらず、地域住民と来訪者の双方に価値ある体験を生み出すことを重視している点が特徴です。

タイ各都市に新たなアイデンティティを
本プロジェクトは、ナコーンシータンマラート、パタニー、ラーチャブリー、ラムプーン、ウボンラーチャターニー、シーサケート、シンブリー、サコンナコーン、ペッチャブリーの9県で試験的に実施されます。各地域では、都市の特性や潜在力の分析から、戦略方針の策定、さらには都市の評価向上につながる具体的な施策の実行まで、一連のプロセスが段階的に進められます。
これら9県は、それぞれが都市ブランドの核となり得る独自の「ローカルDNA」を有しています。ナコーンシータンマラートは南部の伝統文化や工芸、寺院文化が色濃く残る地域です。パタニーはマレー系とタイ文化が融合した多文化的な沿岸都市で、信仰、食文化、海上交易の歴史に形づくられてきました。ラーチャブリーは陶芸をはじめとする工芸文化や職人コミュニティ、河川沿い市場が地域の基盤となっています。ラムプーンはランナー王国の歴史とスローライフの魅力を背景に、織物や歴史遺産が重要な資産です。ウボンラーチャターニーはメコン川流域に位置する国境都市として、祭り文化や現代イサーン芸術を含む創造的な活動で知られています。シーサケートは農業を基盤とした地域性と、東北下部に広がるクメール文化の影響を受けた遺産を有しています。シンブリーは中部平野の生活文化を象徴する地域で、郷土料理や河川文化、地域コミュニティの伝統が特徴です。サコンナコーンはインドシナ時代の歴史的背景を持ち、信仰ルートや工芸文化を通じて多様な文化をつないでいます。ペッチャブリーは王朝時代の歴史、豊かな食文化、伝統菓子、そして創造的な海岸地域の魅力を併せ持っています。これらの資源は、単なるスローガンではなく、地域に根ざした体験価値として展開されることが想定されています。

都市開発に対する包括的なアプローチ
ロゴやキャッチフレーズの制作にとどまる従来型のブランディングとは異なり、本プロジェクトでは都市の内側からアイデンティティを育てるアプローチが採用されています。地域の人材、資源、強みを生かしながら都市を成長させることが狙いです。CEAはアドバイザーおよびメンターの役割を担い、地方自治体が持続可能で柔軟な連携体制を構築できるよう支援します。
本取り組みは、英国のリバプールやマンチェスターが創造産業と地域アイデンティティを活用して都市再生を実現した事例や、日本の金沢や名古屋が文化資源と地域主導のプレイスメイキングを通じて、伝統を守りながら質の高い観光を促進してきた事例を参考にしています。
地域の強みと文化的アイデンティティに焦点
本プロジェクトの中核にあるのは、各都市の「本来のアイデンティティ」を明確にし、文化遺産、生活様式、ビジネス、地域資源といった要素を総合的に活用することです。これにより、単なるブランド構築を超えた持続的な価値創出と、他地域との差別化につながる体験の形成を目指します。最終的な目標は、これらの都市を「住みやすく、投資しやすく、訪れやすい」持続可能な都市へと発展させることです。
本プロジェクトは2026年1月から8月にかけて、以下の4つの主要プログラムを展開します。
持続可能な経済成長への道筋
Creative City & Place Branding プロジェクトは、経済面および社会面の双方で効果をもたらすことが期待されています。創造経済の価値向上、質の高い観光客や投資家の誘致、クリエイティブビジネスの成長促進を通じて、地域文化の保全と発展を同時に進める狙いです。また、都市の国際的な評価を高め、持続可能な都市政策の推進にもつながります。
最終的に本プロジェクトは、関係者から広く認識され、共有される明確な都市アイデンティティを確立し、タイの創造経済における安定的かつ持続可能な成長を実現することを目標としています。各都市はそれぞれの個性を基盤に発展し、地域、国家、そして国際レベルにおける成功モデルとなることが期待されています。
