畜産部門に科学や研究、技術革新を取り入れることで、農家の収入向上や食料安全保障の強化、さらに気候変動の影響の軽減を目指すものです。

畜産部門に科学や研究、技術革新を取り入れることで、農家の収入向上や食料安全保障の強化、さらに気候変動の影響の軽減を目指すものです。

タイの高等教育・科学・研究・イノベーション省は、サラブリー県において、バイオ・循環型・グリーン経済、いわゆる「ビーシージー」アプローチに基づくスマート農業の推進に力を入れています。この取り組みは、特に酪農が重要なサラブリー県で、農業・畜産部門に科学や研究、技術革新を取り入れることで、農家の収入向上や食料安全保障の強化、さらに気候変動の影響の軽減を目指すものです。この中核を担うのが高等教育機関の存在です。サラブリー県ではチュラロンコン大学が、農業技術とイノベーションセンターを設立し、研究成果を現場に生かすための技術移転の拠点として、地域社会との連携を深めています。特に注目されるのは、同大学獣医学部にある熱帯酪農研究・技術移転センターの取り組みです。ここは、農業協同組合省から「酪農と乳製品におけるイノベーションの卓越拠点」として認定されており、タイの気候に適した酪農のモデルづくりを進めています。エーアイシーセンターでは、アイオーティーやエーアイを活用した「乳牛モデルコミュニティ」を開発しました。牛の健康や行動をモニタリングし、生産性の向上や損失の削減、正確な経営判断に貢献しています。また、再生可能エネルギーの導入も進め、コスト削減と環境保護の両立を図っています。さらに、牛乳と飼料の品質を分析する研究所も設立され、タイ産牛乳の品質を国際水準へと引き上げる取り組みも進んでいます。人材育成の面では、ティーディーアールシーが国内外からの支援を受けながら、農家に適した知識を提供し、酪農産業を支える人材や、イノベーションを現場に生かせる「農業イノベーター」の育成を行っています。このほか、獣医療のデジタル化も進められており、乳牛の健康や農場の効率性を、データと技術で的確に評価することで、牛乳の品質向上やコスト削減につなげています。エーアイシーセンターとティーディーアールシーの連携は、政府、民間、教育、地域が一体となって科学と技術を活用し、地域経済の持続可能な発展を目指すモデルケースとされています。この取り組みは、サラブリー県の開発計画や、二〇二三年から二〇二七年までの中央地域開発計画にも合致しており、今後はアセアンや中国市場との連携強化、そしてエーアイシーネットワークの国際展開も視野に入れています。

 

 

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