タイの医療イノベーションが、世界の舞台で注目を集めています。

国立保健安全局エヌエイチエスオーは、ライフサイエンス卓越センターティーシーイーエルエスと連携し、二〇二五年の大阪・関西万博において、タイの国民健康保険制度、いわゆる「三十バーツゴールドカード」で活用されている七つの医療技術を紹介する展示会を開催しました。この展示は、タイの公衆衛生の可能性を示す百の注目事例のひとつとして、国際社会に向けて発信されたものです。

エヌエイチエスオーのジャデット事務局長は、「この七つの医療技術はすべてティーシーイーエルエスの支援を受けており、公的医療保険制度の中で実際に使われていることが、技術の信頼性を証明しています」と語ります。タイ製の医療技術は、高品質かつ低コストであることから、展示会では日本の起業家や来場者の間でも高い関心を集めました。とくに、タイ製の歯科インプラントには多くの注目が集まり、訪れた日本人の多くが「国民をしっかりケアし、国産技術を公的制度に取り入れている」タイの取り組みに感銘を受けたといいます。展示された七つのイノベーションは次の通りです。

一.動的義足

二.ポリメチルメタクリレート製の頭蓋骨プレート

三.チタン製頭蓋骨プレート

四.肝吸虫感染（かんきゅうちゅうかんせん）」を検出する完全検査キット（OV-ATK）

五.無細胞百日咳ワクチン

六.歯科インプラント

七.大腸がん患者用の無菌コロストミーバッグ

これらの医療技術により、すでに十万五千人以上の患者が恩恵を受けており、医療費の削減にもつながっています。ティーシーイーエルエスのジッティポン所長は、「これらの技術は、中小企業にとってもチャンス。今後は海外市場への展開も視野に入れている」と述べました。今回の展示会は短期間ではありましたが、タイの医療技術が世界水準であることを証明し、今後の海外進出の可能性を大きく広げるものとなりました。