健康への意識が世界的に高まる中、運動やバランスの取れた食事、サプリメントの摂取など、ライフスタイルの見直しを図る人が増えています。こうした背景を受け、ヘルスケア関連の製品やサービスの需要が拡大し、健康ビジネスは、今や新たな収入チャンスを生む分野として注目を集めています。特に、フィットネス業界は成長著しい分野のひとつです。タイ商務省貿易政策戦略局のプーンポン局長によりますと、グローバル・ウェルネス・インスティテュートの調査では、二〇二三年の世界のフィットネス市場はおよそ一兆六百億米ドルでした。今後五年間で年平均五.八パーセントの成長が見込まれ、二〇二八年には約一兆四千百億ドルに達する見通しです。
タイのフィットネス市場も拡大を続けており、現在は三十三億七千万ドルの規模となっています。これは世界二百十八カ国中、三十二位のランキングです。成長の背景には、健康と長寿への関心の高まりに加え、アプリや運動トラッカー、オンラインクラスなど、デジタル技術の進化も大きく影響しています。中でも注目されているのが「ムエタイ」です。体力強化やストレス解消だけでなく、精神面の鍛錬にもつながることから、国内外で人気を集めています。ムエタイは、タイが世界に誇る“ソフトパワー”の一つとして、現在、商務省ではムエタイ関連の国際展開を積極的に推進中です。その一環として、国内外でのトレーニングセンターや学校の設立、ムエタイを取り入れたジムの拡大、国際大会の開催なども行われています。さらに、スポーツ用品や衣類、栄養補助食品など、ムエタイ関連の製品輸出も増加中です。これらは、健康志向と観光を結びつけた新しい収入源として、今後も可能性を広げていくでしょう。タイの健康トレンドは、文化と経済をつなぐ“次のビジネスチャンス”かもしれません。