タイのアイスクリームが、今、グローバル市場で注目を集めています。最新データによりますと、タイはアジアで第1位、世界ではEU、アメリカ、イギリスに次いで、第四位のアイスクリーム輸出国となりました。
過去五年間で、タイのアイスクリーム輸出は年平均十一%の成長を続け、年間の平均輸出額はおよそ一億六百万ドル、タイバーツにして約三十七億バーツにのぼります。
二〇二五年一月から二月にかけて、タイのアイスクリーム輸出は前年同期比三%増となる二千二百万ドルを記録し、世界的な貿易の不安定さにもかかわらず、業界の成長力を示しました。
好調を支える大きな要因が、タイが18の国・地域と結んでいる十四の自由貿易協定(FTA)です。このFTAにより、日本を除く十七か国ではアイスクリームの輸入関税が免除されています。こうした優遇措置の恩恵もあり、FTA加盟国向けの輸出額はこの二ヶ月間で二千万ドルを超え、全体の八十七%以上を占めました。
中でもASEAN市場がけん引役となっており、マレーシアが九%増、フィリピンが七十%増、ベトナムが四十一%増と、いずれも高い成長率を示しています。また、韓国が九%、オーストラリアが三十二%、そして香港では百十六%の伸びを記録するなど、アジア太平洋地域全体でタイ産アイスクリームの人気が広がっています。
特筆すべきは日本市場で、関税が二十一〜二十九.八%と高率であるにもかかわらず、輸出額が前年同期比で八百二十七%という驚異的な伸びを見せています。これは、タイ産アイスクリームの品質と多様な風味が海外で広く受け入れられつつあることを示しています。
タイのアイスクリーム産業は、高い品質管理、豊富な原材料、そしてタイ独自の風味といった強みを持っており、多国籍企業からの注目も高まっています。現在では、生産や流通の拠点として、タイに対する投資も進んでいます。
政府もこの動きを支援しており、地元起業家による製品開発や、新たなフレーバーの創出を後押ししています。とくに、タイ産のハーブや地元食材を使ったアイスクリームの開発に力を入れ、FTAの利点を活かして、世界市場へのさらなる展開を目指しています。
タイのアイスクリームは、単なるデザートを超えて、今や新たな輸出の柱となりつつあります。